PORSCHE 912 (1968) 神奈川県警察


昭和42年3月、我が国初の本格的自動車道である名神高速の取締りのため、同じく我が国初のハイウェイ・パトロール・カーとしてポルシェ 912が配備されました。最初の一台が京都府警に、続いて愛知県警に配属された 912は、スピード違反者を大いに震え上がらせたといいます。翌昭和43年4月にも続く3台目として神奈川県警に、さらに昭和44年には静岡県警にも配備され、東名、名神両道路のほとんどがポルシェ 912のパトカーによりカバーされました。神奈川県警の 912は現場で6年間活躍し、勇退後は神奈川県警察学校のロビーに展示され大切に保管されています。

1964年、ニューモデルとして登場した 911は、あらゆる面で 356を凌ぐ性能を示したものの、価格も 356に比べて60%以上も高価格になってしまったため、356の顧客を受け継ぐモデルとして開発されたのが 912です。912は最終型356SC用の95馬力、1.6リッター空冷水平対向4気筒OHVエンジンを 911のボディに搭載することで価格を抑えて作られた廉価版 911で、動力性能は6気筒の 911に遠く及ばないものの、軽量なエンジンのため重量バランスに優れ、操縦性はむしろ 911よりも優れていたとも言われています。


この作品は、フジミ(Fujimi) 1/24のプラ・キットを改造したものです。フジミの 911はホイール・ベースの延長された1969年以降の911をモデル化しているので、1968年以前の 911や 912らしく作るためには、ホイール・ベースの修正から手をつける必要があります。リヤ側でホイールベースを約 5mm短くし、それに合わせてボディ側もホイールアーチを前方に移動させるとともに、ルーフからリヤにかけてのボディ・ラインを大幅に修正しています。4気筒エンジンは実車同様に 356のキットから流用し、赤色灯や無線機などの警察用装備品は全て自作の部品で仕上げています。京都府警や愛知県警の 912はドイツのパトロールカーと同様に大きなスピーカーが後部のエンジン・フード上に鎮座していましたが、神奈川県警の 912は小型のスピーカーをリヤ・バンパーに装備するなど、912の美しいボディ・ラインを損なわない配慮がなされており、数ある 912パトロール・カーの中で最も好感のもてる一台です。